2015 エコプロダクツ展からアクティブラーニングの素材を探す



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展示会の中でも、エコプロダクツ展はアクティブラーニングの素材を探すにはとても役立つ展示会です。主催者側も環境学習の機会として位置づけ、学校などの団体登録が事前にできるように配慮されています。先生たちもその辺は理解していて、毎年、児童、生徒の参加が多く見受けられます。社会見学や、遠足、修学旅行のイベントとか大人に混じってたくさんの児童、生徒が見学に訪れます。中学生や高校生に交じって小学生も参加していることが写真からもわかると思います。勿論、大学生、社会人は当然ですが、高齢者の方々も大勢見受けられました。一日ではとても見れないほど多様な分野からの出展があり、参加型の展示がほとんどで、誰でも楽しめる企画満載なのでしょう。

明らかなCO2濃度の上昇

素材として活用できそうな展示をピックアップして紹介いたします。会場では、部屋を固定しての特別なセミナーも数多く開かれていますが、各企業などの展示スペースにおいて、ミニセミナーが数多く開かれます。その中で気候変動に関するecollableのセミナーでの発表が目に止まりました。CO濃度の推移が2015年で400ppmを超えたというスライドです。1780年代280ppmで1970年で320ppmで明らかに上昇しています。温暖化ガスの一つですから、その結果地球の平均気温の推移も異常な上昇を示していて2015年は史上最高気温になるのは確実だそうです。確かに、巨大な台風が来たり、温帯地域なのに、熱帯のような大雨が降ったりと過去に経験したことがないような気象現象が世界各地で起こっています。この気候変動現象とシリア難民の増加には関係があるというのです。スライドでは2007年から2011年はシリアでは大干ばつが起こっていて、これが最近の論文によると温暖化が原因で降雨量を減少させ、農業生産量が減少し都市に150万人以上のシリア農民が流入し、「アラブの春」と乗じて紛争が複雑化し、難民が増加したというのです。

エコロジカルフットプリント世界地図

エコロジカルフットプリント(EF)の世界地図も考えさせられます。人間活動が環境に与える負荷を資源の再生産および廃棄物の浄化に必要な面積としてあらわした地図です。これを見ると、日本の面積は大きく、アフリカはやせ細っています。(WWF)

ウォーターフットプリント世界地図

下にあるウォーターフットプリントの世界地図は、一人当たりの水使用量を国ごとに比較したもので、グリーンの各色は平均値以下で赤色系は平均値を上回る国です。これで見ると、日本は平均値以下です。いわば赤い国はウオーターストレスが高いと考えます。一見日本は安心と見えますが。これの内訳を考えると日本が低い理由は、食料品のほとんどを輸入しているからなのです。穀物を作るにしても、大量の水を使うし、その穀物を食べる牛などの肉にしても大量の水をその輸出国が消費しているということなのです。つまりサプライチェーン全体を考えると、日本はいわば見えない「水輸入国」とも考えられるのです。赤、オレンジなどの国はウオーターストレスが高く、将来乾燥、砂漠化の危険すらあるのです。

私たちの生活に役立つ珪石の活用

次は、ケイ石(sillica stone)です。ケイ素Siが多く含まれる鉱石です。ケイ素は地球の表層構成元素の中で、酸素46.6%の次の27.72%も含まれる第2位の物質です。たくさんあるのですがこれはすごい物質です。ガラス、陶磁器に使われる物質です。これを還元すると写真の右側にある金属ケイ素になるのです。さらに純度を上げていくとコンピューターなどのCPUのベースとなるシリコンウェーハになるのです。それだけでなく、酸化物は有機ケイ素化合物にもなり、写真にあるようなオイルやシリコーンゴムなどを作りだすことができるのです。原石から化合物まですべて展示してくれているのでとても良い展示でした。

LEDで発電ができるか?

面白い実験がありました。LEDは太陽パネルのように発電できるか?という展示です。ここではLEDを100個直結しそれで電灯をつける実験をやっていました。光りをLEDにあてると写真のように電灯が点灯しました。これはLEDの仕組みを教えるうえでも面白い実験だと思いました。

燃料電池車の仕組み

世界トップ企業トヨタはさすがにすごい展示でした。燃料電池車「未来」をそのまま半分に切断して、水素タンクや、燃料電池反応炉を見せてくれていました。知りたかった原理が手に取るように理解できる展示でした。水素タンクの安全性を見せるために、水素タンクの中もくりぬいて見れるようになっていました。タンクはFRPでできているんですね。

マリーンストーンによる浄化

製鉄所から鉄鉱石に含まれる不純物からできてしまうスラグを捨てるのでなく、マリーンストーンという物質にリサイクルし、これを海底に設置することで、海底のヘドロから発生する硫化水素を無害な硫化鉄に替え、青潮対策や浄化に役立つという展示もありました。写真では、サンゴの養殖用の基板にも使っていました。

味の素の話し

みなさんご存じの味の素の小さな6gビンです。これは市販していないそうですが、味の素というと、インドネシアで2000年から2001年ハラール違反事件を起こしたことを記憶していると思います。この場合原料ではなく、発酵菌の栄養源を作る過程で触媒の培地として輸入した大豆分解物を作る過程で、米国において豚の酵素を使っていたのだそうです。インドネシア当局からは、触媒であっても認めないという判断を受けたのでした。この話しも聞いてみました。あれから、味の素は触媒を変更し、植物性に切り替え、もう一度インドネシアで認可を取り問題を解決したそうです。もともと、天然素材ですから安全な栄養補給品としても活用され、現在は0.9グラム入りや9グラム入りなどをインドネシアやアフリカで廉価で販売し、庶民の栄養補給に役立っています。いわゆるBOPビジネスに広げました。

いかがですか、エコプロダクツ展にはアクティブラーニングに活用できるテーマが満載とおもいませんか。まだまだ使えそうな素材がたくさん転がっていました。さらに紹介できますが、長くなりますので、今回はここまでにしておきます。エコプロダクツを考えるうえでもグローバルなものの考え方や対応が重要なことがわかると思います。グローバル人財リサーチでは教育現場で活用できる素材をさらに研究していきます。

(斉藤宏)