地球を感じる教材のヒントとして、茨城県平磯海岸で太古の地球を考える巡検のレポートが投稿されましたので紹介いたします。投稿者は
埼玉県幸手市立幸手中学校 理科教諭の斉藤明彦先生です。
【タービダイト】
海底に土砂が流れ込むと礫(れき)・砂・泥が堆積します。このとき、粒の大きいもの(礫→砂→泥の順)から堆積し、地層をつくります。 すると、礫岩層、砂岩層、泥岩層がまるで縞模様をつくるように重なります。これをタービダイトと言います。乱泥流堆積物とも言います。
平磯海岸で観られるタービダイトはおよそ8000万年前の白亜紀に土砂が堆積し、形成されたものだそうです。 宮崎県宮崎市日南海岸で観られる通称「鬼の洗濯板」は、平磯海岸と同様にタービダイトです。
【教えるポイント】
1 土砂は、堆積する時に粒の大きさによって大きく3つに分かれる。粒の大きいレキ、
砂、泥の順に堆積する。
2 1のため、海底には、通常、レキ岩層、砂岩層、泥岩層の順に地層を形成する。
3 2のようにして堆積すると縞模様のように観られる。これをタービダイトと呼びます。
4 地表は移動しています。その動き(地殻変動)によって元々海底だった地層が持ち上
げられて(隆起)、地表に現れます。平磯海岸で観られる地層は、今からおよそ8000万
年前の白亜紀の時代に堆積したものです。隆起する際に水平だった地層が折れ曲がり(し
ゅう曲)、傾きました。傾きはおおよそ北を向いています。
5 長い年月をかけて、雨風や波の力によって地層が削られます(風化や侵食)。このとき、
泥岩、砂岩、礫岩の順にやわらかいので、やわらかい地層の方がより削られていきます。
その結果、礫岩層が突き出し、砂岩層がへこんだ状態の地層が形成されます。
【まとめ】
地球環境の変遷を感じる教材は、身近に存在します。茨城県北地域には、白亜紀のアンモナイトや魚竜などの化石が産出する海岸、日本最古と言われる約5億年前の地層が観られます。このように長い地球の歴史やその土地の文化を体験できる場所のことをジオパークと言います。今回巡検に訪れた平磯海岸は「茨城県北ジオパーク」として2011年、日本ジオパークとして公式認定を受けた地域の一部です。「茨城県北ジオパーク」について詳しく知るには、下記のサイトが有益です。観光マップなど情報が満載で分かりやすいです。また、地球科学の学習に役立ちます。夏休みの自由研究の教材としても適しています。ぜひこれらのサイトを活用して「茨城県北ジオパーク」を調査してみてはいかがでしょうか。(文責 斉藤明彦)
【参照サイト】
・茨城大学 地質情報活用プロジェクト https://sites.google.com/site/geonavipj/
・地質観光マップ「平磯海岸」 ※圧縮 (zip 形式) フォルダー ※とてもわかりやすいMAPをダウンロードできます。
https://sites.google.com/site/geonavipj/map/map06.zip?attredirects=0