第3回 グローバル教育を考える集い in 仙台 報告



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福田事務局長による開会の挨拶、本日の流れ説明など
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午前、シンポジウム、石森グローバル人財リサーチ東北支部長基調発題
多田孝志顧問によるコーディネート
多田孝志顧問によるコーディネート
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松岡和久顧問による、教師ではない立場からのグローバル教育の視点
分科会1 異文化接触から見えてくるグローバルな課題
分科会1 異文化接触から見えてくるグローバルな課題
グループでの交流
グループでの交流
分科会1 出会いのストーリーグループ発表
分科会1 出会いのストーリーグループ発表
赤石共同代表による基調
赤石共同代表による基調
斉藤共同代表による、分科会を振り返る全体会
斉藤共同代表による、分科会を振り返る全体会
分科会1の代表グループによる全体会での説明
分科会1の代表グループによる全体会での説明
赤石共同代表によるまとめ
赤石共同代表によるまとめ
振り返り懇親会での記念撮影
振り返り懇親会での記念撮影

3月15日(土)仙台国際センター1階研修室において、第3回グローバル教育を考える集い in 仙台が実施されました。
まずは、手を上げてもらって参加者のアンケートしてみました。大まかな地域を聞くと宮城県の他に、東京、岩手、福島、山形と東北の他の県からも集まっていました。どんな人たちか聞いてみると、大学生、大学院生、小、中、高、大学の現役先生とOB、と母親など一般市民、国際協力団体職員、NPO関係など、期待していた多様な人たちが集まってくれたのがわかりました。グローバル教育にとって、この多様性こそが、おもしろい課題解決のアイディアが生まれるもとになることが多いのです。

午前中のシンポジウムでは、共同代表の赤石和則さん(拓殖大学)と、東北支部長の石森広美さん(仙台東高校)から発題を受けました。

赤石共同代表からは、なぜ今グローバル教育が求められるのか2013年12月の発足から、現代の社会をどう見るのか。なぜグローバル教育」としたのか。「フォーラム」とは何かについて発題されました。
現代の社会はグローバル化を促進してきた近現代社会は恩恵を受けてきた人々と排除されてきた人々との相克であり、政治の拡大と強力な経済成長をもたらしたが、世界の格差・貧困問題が深刻になっています。
世界の貧困格差問題と、原発推進は同一の根を持ちます。そもそも原発に頼らない人間生活とは何かの模索でしょう。「成長の限界」への自覚が必要なのでは。 なぜ「グローバル教育」としたのかは、私たちが目指すものは「共同行動論」排除の論理ではなく、協力・共同の倫理としたい。国際理解教育、ESD、開発教育など様々な教育論が存在する中で、それぞれの教育論の優劣ではなく、これらの一連の教育を広めるためにも、多様な広がりを持つ「グローバル教育」として研究実践していくこととしたのです。「フォーラム」とは緩やかなネットワークあるいはプラットホームでグローバル教育を推進するための協働グループ「協会」でもなく「協議会」でもない幅広い人々、団体の集まりと考えています。

石森東北支部長から、グローバル教育にとっては、Global Perspective、すなわちグローバルなものの見方を養うはずが 学校現場においては、グローバルといえば語学力だと考え、英語科にすべて持ってくる傾向があります。結果他教科の先生が参加しずらい現状があります。本来、グローバル教育は教科横断的に進めるべきものです。そして、育てるべき能力は、人権、平和、環境、開発などの地球的な課題に対して問題解決能力を養うことが重要で、それを教育できる経験を持つ教員がいなくなれば途切れてしまうことになるという問題も話されました。私たちがグローバル教育を進める理由もそこにあります。

片平恵(青山小学校)さんからはポーランドの方との交流をあらかじめ生徒たちに知らせておいたら、生徒がコペルニクスのことを自ら調べノートにまとめたり、アンネフランクのことを深く調べて自分の意見や感想をノートにびっしりと書いてくるようになったそうです。外国の人が来るというきっかけが、興味を刺激し国際理解の行動にかえた実践でした。またある生徒が子犬が安売りされていたことがなぜかを調べ始め、日本人は1,2ヶ月の犬から育てると飼い主に慣れるため、その後は安くなるということがわかった。そこで、視点を広げるため、教師が、ブータンでは敬虔な仏教徒が多いので犬を殺さないので野良犬が町にたくさんいるという話をすると、さらに他の国の例なども調べ始め自ら視点を広げていきました。世界の価値観の違いを自分で調べながら、自分の考え方を広げていった実践でした。教師の価値観を広げる取り組みの重要性に気づきました。

阿部和彦さん(仙台白百合学園高校) 文部科学省のグローバル人材は「勝ち抜く人材」でありそれは「国益を担う人材」をイメージしてしまう。育てるべき人材は「地球益を担う人材」と考えます。
白百合学園は国境を越えたカトリックの連帯をベースに弱い立場にある人々への共感、他者に尽くす奉仕の精神を教えてきています。 具体的にはそのため、グローバルな視野、問題を解決していく行動力、わかりあうためのコミュニケーション力、他者への思いやりを基盤とした奉仕の心を柱に人と地域と社会と世界とつながる力を育てています。 それだけに、ポーランドとの交流やフイリピンなどへのボランティアスタディーツアーなど参加、体験型の実践を取り入れた教育を行っています。白百合学園の実践は公立の教員としてはうらやましい素晴らしい内容でした。

阿部眞理子さん(IVY) カンボジア難民キャンプを訪問したことをきっかけに23年間活動を続けています。活動のひとつに大学生のボランティアスタッフを中心にユースの組織が活動しています。この組織がリーダーとなり、3日間の地球子どもキャンプを実施しています。その結果、この活動を通じて対象となる子供たちだけでなく、ユースの組織を動かしているリーダーの学生たちが変わっていきます。それこそが参加、実践していく中で課題解決を迫られることで、自分自身の考え方を広げていくことにつながるからでしょう。

斉藤宏さん(全国国際教育協会、拓殖大学研究員) 組織論としての「グローバル人財リサーチ」の位置づけと役割について話しました。重要なのは「NPO法人全国国際教育協会(JAGE)」との関係です。JAGEは、1958年設立され移住事業団(JICAの前身)とともに全国の農業高校の学生たちに移住教育(日本におけるグローバル教育のさきがけ)を行ってきた学校内任意団体「全国国際教育研究協議会」のOBを基軸に、市民も含めてNPO法人を結成し、学校現場と市民をつなげる活動を担ってきました。
しかし、グローバル人材育成、グローバル教育実践については重なるものの、グローバル教育の信頼性を高め、広めていくための「学術的な、議論、研究発表の場」や、「実践を担うファシリテーション人材育成」などの領域が切望され、「グローバル人財リサーチ」が結成されました。
この二つの組織は補完しあいグローバル教育やグローバル人材育成を強め広げていくことになるでしょう。 グローバル人財リサーチでは、論文や実践報告書を募集しています。多様な研究、実践を送ってください。掲載します。

松岡和久さん(顧問、シーセフ、元JICE理事長)
教育者でない立場から「グローバル教育、グローバル人材育成」について話してもらいました。地球規模で考えたときに、50年後には人口は100億を超え、エネルギーも枯渇しアジアは自立する。食糧問題も危機的になるでしょう。そのとき日本はどう生きていくのかを考える必要があります。
しかし、悲観することはありません。日本の文化は海外で次々に認められ、日本語が世界で通用する言葉となってきているのです。例をあげると「授業研究」「カイゼン運動」「5S運動」「生活改善」「一村一品運動」「交番制度」です。 これは、サウジアラビアでも小学校で自分たちで掃除をやる「しつけ」が広がったり、アフリカでは「もったいない」という日本の文化からReduceやRecycleが世界に広がり、東日本大震災のあとの、日本人の態度をみて、Respectが日本への評価に加わりました。これらは日本のブランドとも言えるでしょう。日本は「世界の人々と共に生きる」精神を有する人材としてグローバル教育によりグローバル人材を育てていく必要があるのです。

多田孝志さん(顧問、目白大学)
グローバリゼーションは利益拡大のため経済のグローバリゼーションを拡大しています、経済格差が広がり世界の課題は増えるばかりです。 地球は1つで関連しあい北極の氷が減ることは日本の大雪に関わるという研究もあり、必要なのは地球共同体としての発想として考えていく必要があるでしょう。 子供たちの悲しむべき現状は「自信をもてない」、「人間関係を築けない」、「目立つことを極端に恐れる」、「厳しいことから逃避しがち」です。 今こそ、新たな教育の潮流が必要なのです。
それは、「インクルーシブ教育(公正さ)の重視」、「地球市民教育の促進」、「社会の複雑化へ対応する教育」への視点が必要であり、学校教育の目的・学習方法などのリセットが不可欠なのではないでしょうか。そして新たな資質・能力、技能をもった人間の育成が必要なのです。それは人間としての総合力を育む「知」を超えた「智」の育成のため、多様性、関係性、自己変革力、未来志向性などの育成を行うことでしょう。
総合的な学習の時間と学力との相関を取ってみると、総合的な学習活動に取り組んでいる学生ほど学力を上げているとの報告もあります。学びを豊かにする教育法としてグローバル教育を進めていく必要があるでしょう。

発題された内容は多岐、多様にわたり、このように簡単にまとめてしまうのは発題者に対し失礼でもったいない内容でした。

午後の第一分科会(福田ファシリテーター)では、心を揺さぶった自分のストーリーを発表し、グループで共有し気づきをえました。

第二分科会(石森ファシリテーター)ではグローバル教育の実践と理論を詳細に発表しながら、実際の現場で起こる問題点を参加者の実践と絡めながら考えました。

最後の全体会では、会場からもたくさんの意見をいただきました。その中で、学校ではグローバル教育を広めるのが難しい。孤立化してしまう。英語がグローバル教育だと信じている管理職が多い。教科の壁がある。経験のある先生は少ないので、いるとその先生が独占的にすすめている場合が多く他が関われない。ネットワークがない。教職課程にグローバル教育手法を入れるべきである。敷居が高く、理論が難しい。

これに対して、解決策として、教師海外研修などで作ったネットワークを生かし共に学びあう。教科横断的に、他の教科の先生と協力しコラボ授業を考える。よく調べてみると、どの教科にもグローバル教育を展開できる単元がある、それを利用する自分の広い視野が必要。進路指導、部活動指導など教科外でのあらゆる場面を利用する。授業力向上のため見せ合う授業を相互に行い、他の先生に気づきを与えるなど出てきました。

まだまだ、報告したいことがたくさんでました。インパクトがあり元気がでるセミナーでした。仙台のパワー、おもてなしうれしかったです。
とても書ききれない内容の充実した一日でした。振り返りの会も盛り上がり、会場の関係もあり、断る人もでてしまい申し訳ない状態でした。
石森仙台支部長からメッセージ
初めての出会いの方々も多くいらっしゃいましたが、新しい「輪」「つながり」ができたように思います。東京チームと仙台チームの橋渡しができたこと、私としてもとても嬉しく思います。
いろいろと細かな部分で打ち合わせ不足や不手際があったかと思いますが、 結果的にとても良いフォーラムになったのではないかと考えております。 少なくとも、私の仲間たち、友人、知人、教え子らは、早速、メールなどで、 本当に参加してよかった、勉強になった、とフィードバックがありました。 「グローバル教育」をシンプルに、一言で、一日で、全員に理解してもらうことは不可能だと思います。しかしながら、それぞれの立場で、一生懸命に伝えようとし、広げようとした努力は素晴らしいものだったと考えております。
そもそもグローバル教育の概念は多岐にわたり、複雑かつ流動性がありますから、初めて参加した方達が葛藤するのはいわば仕方のないことです。 それこそに意味があるとも考えられます。
明解な答えがないものこそ、グローバル教育で扱う多様なグローバルイシューであるともいえるかもしれません。
初心者から熟達者まで幅広い層の方が参加していた今回のフォーラムでは、 各自がそれぞれのレベルで何かを感じ、ヒントにしてくれればいいですね。 いろいろとありがとうございました。 今後ともよろしくお願いいたします。
石森広美

赤石共同代表からのメッセージ
仙台のみなさま、フォーラム委員のみなさま まずは大変良い会合を持つことができたこと、率直に喜びたいと思います。お疲れ様でした。「教育の現場」からの報告を担っていただいたみなさまにも大感謝です。
こうした動きは、何よりも外部への発信が重要です。自分たちが、自己満足の世界にいるだけでは運動は広がらないし、何よりも自分たち自身の首を占めることにもなりかねません。
少し落ち着いたら、次のステップに向けて動き出しましょう。
赤石和則

文責 斉藤宏