グローバルプラスによる青年海外協力隊員のコンピテンシー経年変容



図1
図2
図3
図4

グローバルプラスは、人財のコンピテンシーを可視化し見える可するツールです。多数ある、いままでの人財評価ツールにおいては、個人の性格適性のエレメントを数値化することはできていますが、それを比較することは困難でした。なぜかというと、各エレメントは数値化できていますが、人間のコンピテンシーは多様で、それを可視化するには、レーダーチャートなどでパターンとして表示するしかなく、無数のパターンができてしまいます。それはそれで、パターンからグループ化は可能ですが、違いを比較することはできません。そこで、すべてのエレメントをそれぞれのツールを管理する、コンサルタントがそのチャートパターンをみてコメントする形で評価しています。その結果、コンサルタントが、その波形のどこを注目、強調するかによって人財評価が無数に存在することになってしまうのです。

そこで、グローバルプラスでは、その人財の位置を座標上に明確に表示できるようにしました。これは、コンサルタントを通しての評価ではなく、プログラム計算として位置を固定できるからです。

人財評価においては、完全な客観性が必要です。これにより、個人の総合的な座標位置を知ることができます。
今回の調査では、青年海外協力隊員7名が2年間、海外の様々な開発途上国で活動を実施した効果を見える可してみました。
青年海外協力隊員が開発途上国の現場で直面するストレスや多様な課題は、物質的には何でもそろう日本での日常生活とは大きく違うのは想像できます。その経年での変容を座標位置にプロットしてみました。
AさんからGさんまでの7人のサンプル調査です。コンピテンシーの変容は若い人ほど大きいことは明らかです。青年協力隊員は20歳から39歳までの青年であり、変容を見るには効果的なサンプルとなります。
最初の図1が7人それぞれの変容を座標上にプロットしたものです。Y軸が「イノベーション力」、X軸が「前に進む力」のベクトルの合成としてその位置がプロットされます。また、バブルの大きさは多様性を表しています。また、原点(0,0)は測定者300万人の平均値となります。
重要なことは、測定者平均値に対しての個人の位置が固定化されますので、自分が測定者中心値に対してどの位置にいるのか明確です。これにより個人それぞれが、自己認識を深めることができます。自分がどのような位置にいるかを認識することは、自己啓発をするうえでとても大きな効果があります。
そのうえで、変容を見てみましょう。全体を見るとBさん、Gさんはほぼ同じ座標として、座標が左下方向に動いたのはDさんだけで、ほとんどの方が右上方向に動いています。これは、2年間の開発途上国での体験が、何もない生活の中で、現地にあるものから創造していく力や、前に進みリーダーとしての力を得たことがわかります。Dさんの場合は、活動でのストレスの増加が考えられますが、図を見てわかるように、動いた座標もほぼ測定者平均の位置で実は多様性は大きく変容していることがわかります。

この多様性については、皆さん大きく変容しています。特に、BさんCさんはもともと、低い多様性だったのですが、2年間の途上国での生活で多様性が大きく変容していることが明らかです。グローバル人財にとって必要なのは、がむしゃらに前にすすむことではなく、多様な課題解決ができるように多様性の拡大ということは大きなテーマですから、それを考えると、青年海外協力隊員での活動は多様性にも大きく変容をもたらすということが理解できると思います。

全員の座標を重ねたものが図2となります。赤のリングが2年前の入隊時で、緑のリングが帰国時現在となります。重ねてみるとわかるのですが、緑のリングがみな大きなリングとなり、多様性の変容が大きいことが明らかです。また全員の位置も緑が赤より創造する力も前に進む力も大きくなり変容が確認できます。

図3が図2にさらに青年海外協力隊員のOB、OGで現在日本で活躍している方々の結果を重ね合わせたものになります。OB、OGが紫色のリングとなります。OB、OGは、帰国時の緑のリングよりさらに右側に位置する方が多くグローバルリーダーとして、帰国後に日本での活躍が予想されます。

最後に、図4をご覧ください。高校生と一般の人で、そのグローバルプラスの分布はどのように変化するのか調査してみました。赤が一般で、青が高校生です。サンプル数は少ないですが、青のグループが赤のグループよりも左下側に多いことに気付きます。これから、まだ世界を知らない高校生がいわゆるローカル人財としての位置にいて、これが成長していくにつれて、グローバル人財としての成長をしていくものがでてくることが予想されます。

グローバルプラスは人財の座標位置を見える化しますが、それはグローバル人財だけが良いというわけではありません。組織には、それを支える様々なパートが必要です。グローバル人財だけでは組織は動きません。それを支える基盤や、支援をする人財がチームを作ってこそ大きな力を発揮します。グローバルプラスの目的はそこにあります。人財を見える化し、グループ作りに指標を与えるツールなのです。(斉藤宏)