フィリピンでの活動報告 青年海外協力隊員としてタクロバンで活動中

青年海外協力隊 平成26年度2次隊 レイテ州 タクロバン町
看護師 金子 昌裕

レイテ島(Pulo ng Leyte) にあるタクロバン市(Tacloban)の位置
いつも5S活動に協力していただいている感染対策チーム
敷地を綺麗に保つためヒマワリとマリーゴールドのガーデンを作りました
フィリピン人救急スタッフと
小学校での感染・環境教育
患者さんの診察待ち時間を利用しての環境・感染の教育
SO取得のためのワーキングコミッティのメンバーと5S推進ミーティング

タクロバン市は約25万人の港町であり、東ビサヤ地域の主要都市になります。

フィリピンの言語といえばタガログ語が公用語で有名ですが、ここタクロバン市ではワライ語という言語が話されています。第二次世界大戦の戦地としてや、2013年の超大型台風「ヨランダ」で約6千人が亡くなった被災地として名前を聞いた方も多いのではないでしょうか?

日本で私は看護師として救急センターと手術室に勤務していました。

医療スタッフが最善を尽くしても、救うことができない命をこれまでに沢山見て「人生は短い、明日はどうなるかわからない」ということを感じ、自分が生きているということに感謝し、興味のあることに挑戦したいなという気持ちが強くなりました。その興味の一つが青年海外協力隊への参加でした。

私の配属先のEastern Visayas Regional Medical Center(以下EVRMC)は台風ヨランダにより被害を被ったためJICAの無償資金協力によって建てられた外来棟、フィリピン政府によって現在建設中の本館、外傷センター、母子センター、がんセンターを構える第三次医療施設(高度な医療施設を有している病院)に今生まれ変わろうとしています。ベッド総数は1500床以上を構え、その大きさはフィリピン国内では一番大きく、また日本の大病院と比較してもそれらを上回る大きさです。
しかし、日本の3次医療施設と比較してしまえば、その施設はまだ充分な物とは言えません。例えば心肺蘇生で使用する除細動器が各部署に無く不足していたり、救急カートの中に不必要な薬剤やアイテムが入っており、逆に必要な薬剤やアイテムが無かったりという現状がありました。そして心肺停止時のプロトコールは世界共通で決まっているのにも関わらず、医師や看護師でそれらを知り実行出来ているのはほんの一握りのスタッフだけでした。

私の要請内容は5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の強化というものでした。赴任後、優先度を考え救急センターでの5S活動から始めました。救急センターで必要な薬剤やアイテムが無かったり、すぐに使用できないということは患者さんの命を救うことができない可能性が高まるため、早急な5Sの導入が必要だと考えたためです。

ちょうど同じタイミングで救急センター長の医師が赴任し、私の救急センターでの5S活動を支持・協力していただき、医師・看護師・薬剤師と話し合い救急カートに入れる薬剤やアイテムを配置することができました。

その後、患者急変の際発令されるコードブルーチームの立ち上げ、心肺蘇生の手技の確認、全科救急カートの配置、感染対策・安全につながる5S活動を病院内でおこなっています。その他にも院内の診察の待ち時間を利用し患者さんに対しての感染対策・環境についての教育を絵本を用いてスタッフと共に定期的に行っています。

5Sは時間の有効活用、仕事の無駄を削減、感染対策、安全対策などがおこなえるため日本では当たり前のように各スタッフが取り組んでいましたが、EVRMCではまだ完全に躾として身につけられていません。なぜなら、使った薬剤を適切に廃棄せずそのままになっていたり、心肺停止の患者に対して使用する大事な薬剤やアイテムも使用後に次の急変時を見据えて補充をすぐ行うことができないのを毎日見ているからです。私たちが問題を指摘すれば一時的には綺麗になるのですが継続が難しいようです。

私は「どうやったら補充や職場綺麗に出来るかな?」と原因を聞いても「忙しいかったからできなかったんだ。いまやるね」と屈託のない笑顔。確かに日本の病院の看護師や医師と比較して看スタッフの数が患者の比率に対して圧倒的に少ないです。それを見て私も「5Sどころじゃないからしょうがないか」そう認識し多少の問題は目をつぶっていました。私も最初一年間は彼たちの価値観を学び働き方に合わせることでコミュニケーションをとろうとしていました。今考えれば、彼らの現状の問題に対して厳しく言うことにより私は彼らから嫌われてしまうことを恐れていました。

もちろん日本と比べフィリピンの働き方は良い面も沢山あります。みんな定時に帰宅して家族を大切にすることや、楽しみながら仕事をしていて笑顔が仕事中たえません。そこは素晴らしいフィリピンの文化だと思いますが、私たちは医療スタッフです。患者の命を守る立場であり、患者さんは病気を治療しに来院し、和気あいあいと仕事を楽しんでいるスタッフを見に来ているわけではないのです。多様なボランティアの形があるかと思いますが、私は活動は活動で割り切り、自分の意見はしっかりと彼らにダイレクトに伝えることにしました。それがフィリピンの患者さんや従業員の為になると考えたからです。“口煩い日本人だ”と思われているかもしれませんが、こんな私に対しても受け入れていただき話を聴いていただき、優しく支えていただける多くのフィリピンの同僚たちにもとても感謝しています。これこそがフィリピン人の国民性なのではないでしょうか?

だからこそ5S活動を実行・継続させて効率化を図り忙しい彼らの仕事を少しでも減少させ家族と過ごせる時間を確保できるようにしたり、フィリピンの患者さんの命を守るため必要なアイテムがすぐに取り出せるように常にしておきたいと強く思うようになりました。

現在は感染対策チームが感染のアウトブレイクを防ぐために5Sのレクチャーを毎月行い、患者やスタッフの安全を守るためにワーキングコミッティチームが5S活動の強化に乗り出してくれ、またISOのライセンスを取得するため5Sを導入したり、病院のミスコン開催しドレスをゴミを使用し作成したり、毎日音楽をかけて10分間のお掃除タイムを設けるなど様々な形のアプローチをしています。どのように5S活動が継続していけるかが私たちEVRMCにとっての今後の課題です。

現地の文化・習慣・宗教・生活を尊重し受け入れるということは、看護師と患者様の関係にも似ていると感じる毎日です。経済大国である日本と比べると金銭的には決して任地は裕福とは言えませんが、みんな笑顔で助け合っているフィリピンの人々を見ると果たして「Quality of life(生活の質)」はどっちの方が豊かなのかということをいつも考えさせられます。(看護師 金子 昌裕)

現在、フイリッピン、レイテ島で青年海外協力隊員、看護師として活躍している金子さんからの投稿です。小学校や病院で「環境・感染の教育」も実践されています。日本の援助で作られたフイリッピン1の長い橋「San Juanico Bridge」曲線が美しいループ橋があるところです。フイリッピンはとても近いですが、日本とは全く違った環境で、自分の多様性を広げたり、子供のグローバル教育にはとても良い場所です。国民性も日本人に対してはとてもフレンドリーでどこでも英語が通じるところがとても便利な環境です。(斉藤宏)

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