11月28日(土)国際開発ジャーナル社主催による「国際協力キャリアフェア2015」が開催されました。
「国際協力キャリアフェア」は、より国際協力のプロに近づくためのキャリア形成を応援する本邦最大クラスのイベントです。
いわば、グローバルな生き方を自分のキャリアMAPに描いた人たちが、生きた情報を求め、一度は訪れるフェアでないかと思います。
これまでに学んだことや、キャリア・スキルを生かし国際協力の分野で活躍したい。開発学・経済学・教育学・法学・土木・電気・農業etc。
自分を高めて、国際協力の「プロ」になりたい。あるいは、「ライフワーク」として関わりたい。
これから、国際協力の世界にチャレンジするために、もっと国際協力のことを知りたい。学びたい。
国際協力の仕事って何があるんだろう。政府機関や、援助実施機関、開発コンサルタント、国際機関、NGO、あるいはグローバル企業など、さまざまな関わり方がある。そして、自分に何ができるだろう。
進学ならば、大学院、あるいは留学。どこに進もうか。それらの疑問に対して、現場のプロがその場で相談に乗ってくれるイベントです。
教育機関、関連コンサルタント業界、政府機関、国連関連、NGOなどがすべて同じ場所でブースを開いてくださっているので、この一日で情報収集や、相談、プレ面談までできるというとてもコンビニエンスでお得なフェアといえます。
立山桂司氏のオープニングセミナー「国際協力業界への進路・就職を実現するために求められる5つの考え方と2つのスキル+α」は写真をご覧になってもわかるように、朝一番にも関わらず満席の状態でした。もちろんこれ以降のセミナーも満席が多く、この道に進みたい、スキルをつかみたい、学びたいという参加者の強い熱気が伝わって来ました。
立山氏があげた5つの考え方は紹介すると
- 自分は誰かに求められている存在であると意識する。
- コミュニケーション重視型の活動に切り替える
- 自分がモデルとされる人になると決意する
- 自分にとっての本当の安定志向とは何かを考える
- できるだけ多くの多才なコーチを持つ
が挙げられていました。つまり、コミュニケーションを通じて様々なアドバイスに接し、心を開き自分のコンピテンシーを鍛える必要があるということです。ついつい、この業界は、語学力、学位、海外経験とスキル優位に走りがちですが、それだけでなく内面への強化を忘れてはならないということだと理解しました。
私は、キャリア相談員として参加しました。多くのかたの相談を受けましたが、個人情報は書けないので、全体を通して気づいたことを書かせていただきます。相談は現職や無職の方で自分の次の方向性を悩んでいる人の方が学生の方より私の場合3倍に近かったです。欧米では職を変えながらキャリアアップしていくのが普通ですが、日本は一生務める考え方が強いので、悩むのは学生より現職の方なのでしょう。
現職の方々の経歴も、しっかりとした会社や公務員で5年以上経験を積んで、キャリア形成をされている方が方向性に悩んでいるという図式が目立ちました。毎日の仕事はしっかりこなしているが、次第に国際協力や国際貢献、開発援助のフィールドが頭の中で広がり、その世界で活動してみたと考えるようになったようです。
みなさん、一様に長短はありますが海外経験はお持ちで語学も問題はないようでした。
キャリアの中でたりないのは、修士以上の学位という方が多かったです。
学部卒の学位までの方は、これから大学院に行くとなると、相当な決心が必要になってきます。
海外、特にイギリスの開発学の大学院に入る、日本の大学院の社会人枠で入る等考えなくてはなりません。しかし、海外となると、仕事はやめざるを得ず、イギリスで1年としても、学費、滞在費を考えたら大変な出費です。よほどいままでのたくわえがないと踏み切れません。
日本の大学院でも、修士の場合は、必須関連単位をとるために授業を受ける必要がありますので授業配置が夜間などにない場合、会社を休まねばならずNGです。それでも、最近は、夜間に授業を配置してくれている大学院が増えてきましたので自分の地域で、そのような大学院があればずいぶん取りやすくなったと思います。
それでも、残業が多くとても通えない方は、通信教育大学院を探すと良いでしょう。特に、全国主要都市にほとんど学習センターを持っている放送大学院などもおすすめです。最近は博士課程もできました。
しかし、必要なことは、修士からは、いわば研究者ですから、自分で研究をしなくてはなりません。入学する前に自分のはっきりとした研究テーマを持つこと。その研究テーマが実は次の就職の時に役立つことになります。
もう一つ必要になるのが開発途上国での活動経験ですが、大学時代にNGOの子供の教育プログラムに参加したとか、少数民族の村でフィールドワークをしたとか、自衛隊のミッションでアフリカ派遣の経験をしたとか、望んで、途上国での経験を積んできたことが、さらにこの業界に進もうと気持ちを強くしているようでした。
現在の職の安定からあえて、厳しい環境に飛び込もうとするモチベーションは素晴らしいなと感じました。特に、相談した中には青年海外協力隊にすでに合格していて、職場にはまだ話していないで、いま決断するために悩んでいるという方もいました。
リスクを取る行動力を持っている方によくあるパターンです。この瞬間、自分自身での決断が変容する自分への大きな決断になると思いました。ここを乗り越えることで強いコンピテンシーを得ていくでしょう。
お力になれたかはわかりませんが、相談員として、協力させてもらい、変容しようとする前向きな話をたくさん聞かせていただき、楽しい時間でした。ありがとうございました。
(斉藤宏)