多田孝志先生による講演「21世紀の教育の考え方と実践方法」



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グローバル人財リサーチのアドバイザー、多田孝志目白大学教授
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講演の様子
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全国国際教育協会のメンバーと参加者

多田孝志先生による特別講演

演題 「21世紀の教育の考え方と実践方法」

今回の講演のキーワード
Ⅰ 教育の大変革期
・ グローバリゼーションの進行と社会の課題
・ 新たな教育の潮流
・ グローバル時代の学校教育
・ 学習観の転換
・ 21世紀の人間形成に望まれる資質・能力

Ⅱ グローバル時代の対話力
・ どんな対話力が必要なのか
・ 対話力を高めるために

多田孝志先生 略歴

経歴 東京学芸大学卒業、上越教育大学大学院修了。
現・目白大学人間学部長・児童教育学科長
現在の主たる研究領域・テーマ 「国際理解教育論」「学習論」「対話論」を研究領域としている。
国際理解教育論では、持続可能な開発のための教育等最近の動向、
対話論ではグローバルスタンダードな対話、ことに共創型対話に関する理論的・実践的研究。

主な著書・論文
•『学校における国際理解教育』 (1998年 東洋館出版)
•『地球時代の教育とは』 (2000年 岩波書店)
•『学習スキルの考え方と授業づくり』 (2002年 教育出版)
•『地球時代の言語表現 ―聴く・話す・対話する力を高める―』
(2003年 東洋館出版)
•『対話力を育てる』 (2006年 教育出版)
•『共に創る対話力』 (2009年 教育出版)

今回の講演はNPO法人全国国際教育協会のご厚意により無料でどなたでも参加することができました。

日時 平成26年5月27日(火)14:00から15:00
場所  「全商会館」4階会議室
住所 東京都新宿区大京町26
電話 03-3354-7911

「21世紀の教育の考え方と実践方法」講演報告

5月27日、連携組織、全国国際教育協会の総会に合わせて、多田孝志教授による、特別講演「21世紀の教育の考え方と実践方法」が実施されました。国際協やグローバル人財リサーチの会員以外でも、さまざまな立場の方々が、ぜひ聴きたいと集まりました。1時間の短い中に、混迷する21世紀の社会の課題にグローバル時代の学校教育はどう変革されるべきか、変容をもたらすグローバル時代の対話力について話していただきました。

講演のなかで、まず先生から、となりのかたと、最近の高校生の問題点について話してみてくださいと言われました。このような発問が講演の間に何度か繰り返されました。このアクティビティは緊張を解くと同時に、その時の論点を深く考えるきっかけを与えるとともに、受動的な聴講者でなく、能動的な聴取者になっていくきっかけにもなり、相互の対話を促進することに気づきました。

従来の教育に対して、21世紀の教育は変わらなくてはならない、急激に動き始めている経済のグローバリゼーションとそれに巻き込まれる若者たちに、教育界として何をはぐくめばよいのか、その課題に対する解決策として、多田先生は、欧米にはない日本人独特の「相互扶助の精神」や「感性の豊かさ」は森羅万象を視野にいれた教育を展開できるのではないかとも考えているようでした。
今の若者たちが、世間の目に答えようとするあまり、周りに同化し「透明な自分」を演出している姿はこれで良いのかと考えさせられました。

興味深い例として、「釜石の奇跡」において、当日校長もいない学校から、中学生たちが、自主的に山を目指し逃げていきました。その時に、途中の小学校の生徒は、校舎4階に逃げようとしていたのです。そこで、中学生たちは、小学生たちにそこではだめだと話し、そろって裏山に逃げ始めました、裏山の中腹に、大人たちは安全と思い、とどまっていましたが、海を見た中学生たちは、ここでも危ないと悟り、さらに上に登り全員が助かったことを話されました。結果、津波は小学校4階はおろか、裏山の中腹も襲ったのでした。

日本においても多様な考え方や文化が日常生活においてもグローバル化の流れの中で押し寄せ、すでに、「先生の言うことを聞きなさい」という教育が限界にきていることを理解しなくてはならないのでしょう。答えが一つの時代は終わりました。たくさんある解決法のなかから、自分の答えを見出す力が望まれているのです。 しかし、釜石の奇跡を起こしたように学びの方法をしっかり確立すれば、誰でも力を出せることが証明されたのです。
この力こそ、自分で決定していく力、自分で自分の人生を選択する力でありこれをはぐくむ教育こそが21世紀に望まれる教育といえるでしょう。、これはいま、一部で始まっているトップエリートを引き上げることでは解決しません。 日本の子供たち誰もが必要な力なのです。

この教育には、語彙力など基礎力養成は欠かせませんが「対話」を深めさらに「深い対話」を導く教育をおこなうことにより心の変容に至る教育につながると話されました。 私たち、にとっても、ファシリテーションのスキルをベースに、対話を深め学校現場にかかわり、続けていきたいと改めて思いを強くしました。