グローバルプラス診断で可視化された座標から年代による有意な特徴が見られるのか調査してみました。この調査の目的は、もし年代別の傾向が見えるとすれば、組織で人財を活用するときにその特徴を理解してステップアップの研修などを準備しパフォーマンスを上げることができるからです。そこで335名のデータを20代、30代、40代、50代以降という年代に分けてプロットしてみました。それが図1となります。それぞれの年代ごとにプロットのマークや色を替えてあります。
このままでは特徴を読み取れませんので、20代、30代、40代50代以降の各年代ごとの散布図に分けてみました。これを見ると左下から右上に向かう直線状に散布されるのは同じですが。その角度に違いがあることがわかりました。ここで一次回帰直線を算出してみたところ。傾向が見えてきました。角度に違いがあるのです。この角度は何を意味するかというと。X軸が前進力で、Y軸がイノベーション力としていますので。角度が大きいほど、前進力に対してイノベーション力が強い傾向になっているといえます。一方で、角度が低い場合イノベーション力が前進力との比較弱くなっている傾向にあると言えます。そのうえで、各年代を見てみました。
顕著だったのが20代の回帰式です。明らかに他の年代に比べイノベーション力が前進力に勝る傾きでした。これから言えることは20代は現状に対して新しい発想を持っていると考えられます。まだ若く企業風土などに埋没するのではなく新鮮な発想ができる状態を保っていると考えると理解できます。
そこで、さらに数値として、それぞれの年代の人財のX座標、Y座標の平均値をとってみました。これによりそれぞれの年代の前進力やイノベーション力の強さが数値で明らかになります。表1がその平均値となります。これには多様性の平均値も計算しました。
赤のところで、0.415という値でほかの平均値とは際立っています。これにより、先ほど述べた、20代のイノベーション力平均の高さが実証されました。30代、40代、50代と比べても顕著な差がありました。
一方で、前進力が最も強いのは40代の-0.004でした。企業の中でグループリーダーとして働いているのはこの年代で納得できます。40代はイノベーション力の平均値においては他の年代と大きな変化はなく、個人を抑え、グループリーダーとして協調を強く考えて動いているためと考えます。それは多様性においても一番高い平均値となり、グループリーダーとして働いていくためには、多様な意見や考えを持った部下を理解し、プロジェクトを続けていかなければならず、おのずと多様性が養われていると考えられます。
イノベーション力では一番の平均値を持つ20代も、前進力においては-0.391と平均値が一番弱く、企業のなかでのその位置が理解されます。若く新しい発想はあるが、リーダーとしての力はまだ育っていないと考えられます。
この傾向から、人事部などでどのように活用していくかというと、グローバルプラスでの可視化座標は自分を知り、自己改革を進めた人には変容が出ます。そのために、年代によりその傾向が変容するわけで、この適性検査を毎年続けることで、人財のモニタリングが可能となります。この変容は若いほど大きい変化が見られます。また可視化して個人の座標が明らかになったところで、何が課題なのかが明確になりますから、その課題を克服するセミナーやコーチング研修を行うことで変容を効果的に行えることになります。(斉藤宏)