ここまでコンピテンシー可視化ツール、グローバルプラスを使って、335名の日本人をはじめ、アメリカ、ヨーロッパ、東欧、中東、アジアアフリカ、中南米を含む様々な人種を含めたデータを用いてその特性や可視化指標についての有効性について触れてきましたが、今回は、エビデンスを検証してみました。
このランダムな母集団の中に、今まで、調査してきた、属性がわかっている集団と重ね合わせることで、この診断が有効な診断であるか明らかになります。最初の図をご覧ください。世界のランダムな母集団の上に、日本のグローバル人財を重ねたグラフです。12名分ですが、過去の診断データで、複数の人間から、グローバル企業の部長クラスや開発支援組織の中でグローバル人財として認識されている方たちの座標位置です。これを見ると座標位置は世界の母集団の右上の位置に分布していることがわかります。X軸となる前進力とY軸となる前進力が作り出すベクトルはグループをリードし、革新的なプロジェクトを創りだしていくグローバルリーダーの位置そのものとなります。しかも、位置はランダムな母集団の中に納まっており、335名の散布図こそが、世界の人財のコンピテンシー分布エリアの限界を表していることがわかり。この位置に座標を持つものがグローバルリーダーと認定できるエビデンスになることが理解できます。
次の図をご覧ください。この図で重ねたのは、JICAの出前講座の講師として活躍している、青年海外協力隊員OG、OBです。前の図で紹介した、グローバル人財も重ねてあります。青年海外協力隊員については、過酷な開発途上国の最前線で、現地の人々の中にとけこみ、一人だけの日本人として働き、自己の判断で次々と起こる課題を乗り越えていく試練の繰り返しを経験します。それは、人財変容を大きく期待できる実践となります。この図からわかるように。青年海外協力隊員を経験し現在も続けて、協力隊での体験を伝道師として紹介している方たちの可視化座標は、グローバル人財として企業や開発組織で活躍している人財に匹敵する座標位置になるのです。これは、協力隊参加体験が人財に変容をもたらしていると考えられます。これを裏ずけるように、青年海外協力隊員として派遣されたばかりの人財をさらに重ねてみました。紫の三角がそうです。これから、参加した方たちは、母集団の位置からも、普通の位置に座標があることがわかります。あえて述べると、左下のグループと右上第一象限に入る2グループに分類できそうですが、平均すると分析値のほぼ中央になるだろうと予想できます。つまり、青年海外協力隊員に参加し、2年の開発途上国での過酷な経験を積む中で、人財として大きく変容していくことが明らかです。
興味深い発見もありました。この図を見てもらいたいのですが、日本で、日本語を学んでいる留学生のグローバルプラス分析です。この留学生は中国、ベトナム、台湾、ミャンマー、韓国、スペインなどですが、特徴的なのは右上に分布するのではなくほぼ原点の近くに分布するのです。これは驚きでした。日本に来る外国人は強いグローバル特性を持ち日本で秀でたグローバル性を発揮するかと考えていたからです。この疑問は検査の後に話を聞いて理解できました。彼らのほとんどが、日本のアニメや日本社会の優しさが好きで、日本留学を決めたと話したからです。この原点付近に位置する人財は多様なプロジェクトの中でリーダーを支え協力していけるグループに位置し、企業などにしてみるとどんなプロジェクトにおいても活用しやすい人財として位置づけることができます。日本で外国人を採用するときに、グローバルプラス診断を活用することで、企業の求める人財を有効に選択できることがわかります。
さて、学校教育現場での活用を見てみましょう。これは、グローバル人財と、高校生の分析を重ねたものです。分布は一見して中心から左下方向に重心があることが理解できます。もちろん、グローバル人財に食い込んでいる子も少数います。属性的には、生徒会会長や、部活の部長などです。しかし全体としては未成熟な状態と理解できます。これこそグローバルプラスによるモニタリングを行えば、現状分析と補強研修の組み立てにより、変容を組織的、確実に行えるのです。1年ごとにモニタリングしていくことで、結果にコミットした変容を期待できるのです。イノベーション力や前進力はグローバルプラスで複雑な要素を演算合成した力で、この力の中に入れている要素を強化する研修でスムーズな変容を期待できるのです。大学生での活用は高校生より成熟が進むため、現実的に社会に最も近い位置としてより効果的な活用ができます。
グローバルプラス分析はクラウドでの診断になります。分析は、ネクストエデュケーションシンクのクラウドサーバー上で世界中どこからでもアクセスでき、さらに適性実施時間も20分程度で終了します。NET FaceBook もご覧ください。(斉藤宏)