都立大島高校での国際理解教育アクテビティ―をご紹介します。大島高校は農園を含み都内一の広い敷地を持つ高校です。また、教育機関として世界初の「国際優秀
つばき園」に認定されたそうです。
農林科を持つ学校で生徒による椿ガイドも実施しています。大島には高速のジェット船が就航しており竹芝桟橋から2時間程度で行ける便利さなのに東京とは思えない自然一杯の環境に立地しています。
今回は「世界がもし100人の村としたら」をベースに特別に作った「国別カード」を使い、配られたカードの国の代表になるという設定でアクテビティを設定しました。生徒たちは、1年、2年生全員で96名で世界の196か国の中から、アジア、アフリカ、ヨーロッパン、オセアニア、北米、中南米、中東などの地域から50か国のカードを使いました。それぞれの国のあいさつの言葉で声を掛け合い、同じ言語を使っている国を探し仲間が見つかったら握手して、その場に座ります。最初は声を出すのを恥ずかしがっていたのですが。だんだんに大きな声で探すように変化していきました。実はこれは結構大変で、世界には6500言語ぐらいもあり、日本語のように日本だけの国もあり、そうかんたんに見つからないのです。これで、グループになった国の人と自分の国について話します。国別カードにはその国の面積や人口、GDP、平均余命などのデータが入っていますので一目で自分の境遇がわかるようになっています。
次のアクテビティ―は、アジア、アフリカ、ヨーロッパン、オセアニア、北米、中南米、中東などの地域ごとに集まり、その中で、GDPの高い順に並び、一番高い国と低い国が手をつなぎ円を作って座る。そして、グループの中で、ポジティブな発想でその地域グループの良いところをだしあい、決めた代表がプレゼンをするという設定でした。北米、ヨーロッパなどは高いGDPの国が集まるが、アフリカはほとんどの国が1日100円程度の生活をしている低いGDPです。アジアは発展した日本のような国とバングラディッシュのような途上国が斑です。
生徒の発想では、たとえばアフリカにはお金はないけれど、自然や野生動物がたくさんいるのがアドバンテージだと発表してくれました。世界は、より格差が広がり同じ地球にありながら全く違った生活をしています。しかし、どこの国にだって幸せはあり、お金だけが価値観の基準ではないことを考えてもらえたと思います。
一番いいのは、他の国に行きそこで生活してみると、自分の今まで考えていた常識が崩れ、幅広い考えを持てるようになります。しかし、だれでも海外に行けるわけではありませんから、このような仮想体験でのアクテビティ―により体験し、多様性を身に着けてもらうことが目的です。
96人中の数 | 当てはまる | どちらかといえば当てはまる | どちらかといえば当てはまらない | あてはまらない |
興味関心を持って取り組めましたか | 42 | 50 | 3 | 1 |
講師の話は最後まで聞けましたか | 52 | 40 | 2 | 2 |
世界の国について少しは理解できたと思いますか | 42 | 50 | 3 | 1 |
日本の環境は恵まれていると思いますか | 73 | 22 | 0 | 0 |
アクテビティーの後に96人に評価アンケートをとってもらいました。その結果ですが、「日本の環境は恵まれていますか?」の問いに関して、当てはまる、どちらかというと当てはまるの合計で100%の生徒が、途上国の現状を知ることで、日本が恵まれた国であることにきづいています。世界の現状を知ることはとても重要なことなのです。高校生のセンシティブな感性が反映されているのです。これはこの後、自由に記述してもらった質問、「日本以外の国についてどう思いましたか」と聞いてみると、以下のような結果でもみてとれました。
「日本以外の国についてどう思いましたか?」
貧しい国が多く、日本は恵まれている 63.22%
多様で独特な国が多い 14.94%
知らない国がたくさんある 5.75%
興味がわいた 4.60%
実際に行ってたしかめたい 2.30%
他の国は面積が広い 2.30%
途上国の未来が楽しみだ 1.15%
こどの区ににも良いところがある 2.30%
日本は寿命が長い 1.15%
ルクセンブルグに住みたい 1.15%
モンゴルの国旗を知りたい 1.15%
やはり日本は恵まれた国だと強く感じた人が約63%いました。それ以外でも、多様で独特な国、知らない国がたくさんある、興味がわいた、実際に行って確かめたい、など今回のアクテビティであらたな、気づきが広がり、興味を持つことになったことがうかがえます。
次に「他の国に対して何ができると思いますか」と聞いてみました。気持ちが、具体的な方向として出てくるかを聞いてみました。その結果が以下です。
募金をする 59.2%
ボランティアに参加 21.1%
青年海外協力隊に参加 7.9%
文化を学んだり交流をする 5.3%
外国語を覚える 1.3%
ものを大切にする 1.3%
他の国のことを考える 1.3%
差別をしない 1.3%
何もしないのが良い 1.3%
募金は高校生の行動として、何かしたいという気持ちから、とりあえずできることとしてまずダイレクトに出てくる考えで、59.2%というのは理解できます。その次に出てくる、ボランティアに参加するが21.1%、青年海外協力隊に参加 7.9%文化を学んだり交流をする 5.3%とこれらを合計すると34.3%にもなり全体の1/3が踏み込んだ活動をしたいと答えています。特に、青年海外協力隊に参加したいというのが、7.9%もいたのには驚きました。これはかなり積極的な思いです。
「機会があればどのような活躍をしてみたいですか?」
ボランティア 31.9%
何か技術を教える 8.7%
スポーツ関係 5.8%
日本語 5.8%
農林科で学んだこと・農業 5.8%
自然・動物保護 5.8%
日本のことを教える 5.8%
人と絡む活動 4.3%
ファッションデザイン 1.4%
地雷撤去 1.4%
植林 1.4%
世界遺産の研究 1.4%
ゲーム開発 1.4%
SNSで広める 1.4%
写真を撮る 1.4%
美術 1.4%
料理 1.4%
アルバイト 1.4%
石油王になる 1.4%
旅行で行く 2.9%
海外に行きたくない 7.2%
行動の具体性を聞く質問ですが、農林科で学んだこと、自然・動物保護、植林などさすがに普通科だけでなく農林科がある学校で、自分たちの専門にかかわる援助をしたいという答えがありました。ボランティアと言っても、自分の専門分野で国際貢献を行うわけですから、高校生という若い時期から、専門知識を持っているというのは将来世界で活躍することを考えたときに、おおきな自信にもなるでしょう。それと、テロなどで、世界中で大きな事件が起こっている現在を反映していて、海外に行きたくないという生徒が7.2%いるということはうなずけます。
ここで「外国語の学習についてどう思うか?」聞いてみました
とても重要 32.1%
英語学習を頑張る 29.6%
大変だと思った、苦手だ 18.5%
面白かった 11.1%
世界の言語が多い 7.4%
日本語だけでいい 1 1.2%
外国語の学習に関しては、とても重要が32.1%、英語学習を頑張るが29.6%と合計すると61.7%もの生徒が、外国語の必要性に気付きました。しかし、一方で大変だ、苦手だが18.5%、日本語だけでいいが11.2%で合計すると29.7%の生徒は否定的で他の国とつながっていない島国日本の現状をよく表していると思います。これは大きいと思います。確かに、日本に住み続ける限り、外国語の必要性はないわけですから、そう思っても仕方がないと言えます。しかし、資源のない日本が将来ともにその位置を保つためには、世界とともに生きていくことが必須なわけですから外国語の重要性はますます高くなるでしょう。
「世界の人々と交流するためには何が必要ですか?」
英語 24.2%
コミュニケーション力 24.2%
外国語 21.2%
その国の理解・学習 11.1%
積極性・行動力 10.1%
ボディランゲージ 2.0%
表現力 2.0%
ユーモア 1.0%
興味 1.0%
笑顔 1.0%
グローバル化 1.0%
翻訳アプリ 1.0%
さらに具体的に、世界の人々と交流するために何が必要かと聞くと
英語24.2%、外国語21.2%で合計すると45.4%、さらにコミュニケーション力24.2%、その国の理解学習11.1%、積極性・行動力10.1%合計すると45.4%と語学と積極的なコンピテンシーを合わせると90%以上になることがわかります。外国語はあくまでもツールであり、それを使う人のコンピテンシーが重要です。ボディーランゲージ、積極性や行動力、表現力、ユーモア、笑顔などがそろってこそ、理解が進み交流が行われるのです。生徒たちは、それも良く理解してくれました。
最後に何でも書いてもらいました。
楽しかった 28.9%
興味を持った 18.4%
勉強になった 13.2%
サンゴがきれいで大切なことが分かった 10.5%
日本はいい国だと思った 7.9%
講演が心に刺さった 2.6%
先進国に留学しようと考えていたが、途上国も行ってみたくなった 2.6%
世界の人口多すぎ 2.6%
留学したくなった 2.6%
井の中の蛙にならないように 2.6%
世界をよくしたい 2.6%
貧しい国のため働きたい 2.6%
外国のことを考えることができた 2.6%
楽しかったが28.9%いて、興味を持った18.4%、勉強になったが13.2%と60%以上の生徒がこの講演を評価してくれていました、このほかにも「講演ありがとうございました」というお礼の言葉がたくさんあり、とても礼儀正しい生徒たちだと思いました。全体として高校生にこのようなアクテビティを行うことが極めて効果的であることがわかりました。
グローバル人財リサーチでは、グローバル人財の可視化をその研究の中心としていますが、高校生、大学生へのアクテビティの効果は大きいということを明らかにしています。この年代の若者は、感受性が高く、まだ完成していないコンピテンシーを持ち、ターゲットに合わせた育成プログラムを実施すれば、大きな成長がみられるからです。まさに磨けば光る宝なのです。
これは前にもブログで明らかにしたグローバルプラスによる世界の人財のプロットの上に高校生とグローバル人財を重ねてプロットしたものです。グローバルプラスのY軸はイノベーション力、Ⅹ軸は前進力となりますが、青い点●が世界の335名の人財の座標でこの上に赤の■がグローバル人財、そして赤の●が高校生です。世界の335名の広がりがほぼ、人財の分布する限界範囲をしめしています。グローバル人財は右上に分布されます。そこで、高校生を見ると右上に重なるリーダー的高校生もいるが全体的には中央平均値付近で、そのほかは左下に分布し、世界の限界範囲を超えて、まだまだコンピテンシーが未成熟であることが理解できます。
だからこそ、育成が必要だと言えるのです。グローバルプラスにより、現状座標を理解し、どんなセミナーやアクテビテイーを行えば育成できるか分析し、育成していくプログラムを組む必要があるのです。
「グローバルプラス分析」によるモニタリングを行えば、現状分析と補強研修の組み立てにより、変容を組織的、確実に行えるのです。1年ごとにモニタリングしていくことで、結果にコミットした変容を期待できるのです。イノベーション力や前進力はグローバルプラスで複雑な要素を演算合成した力で、この力の中に入れている要素を強化する研修でスムーズな変容を期待できるのです。大学生での活用は高校生より成熟が進むため、現実的に社会に最も近い位置としてより効果的な活用ができます。
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